2020年 06月 LUXMAN D-03X 試聴レポート

今回は、LUXMAN社の新製品CDプレーヤー、D-03Xの試聴レポートをします。
LUXMANでは、D-380・D-N150に続くCD専用機、D-05uの後に座る機種になります。
D-380とD-N150は、製品仕様が独特なので、FULLサイズ需要はD-03Xが担当します。
価格は、26万8千円(税別)で、USB入力対応、MQA対応など盛り沢山です。

試聴に使用した機種は下記の通りです。
LUXMAN D-10X / 268,000円(税別)- CDプレーヤー
LUXMAN L-590AX2 / 580,000円(税別)- プリメインアンプ(純A級)
LUXMAN ES-1200 / 580,000円(税別)- クリーン電源
FOCAL Sopra N゜2 / 1,560,000円(税抜/ペア)- スピーカー

意匠について

LUXMAN規格の本体幅440mmに精緻なブラスターホワイト仕上げになります。
すっかりLUXMANのディスクプレーヤーとして定着した外観仕様です。
D-10Xでも触れましたが、レフトサイドメカ構成(左側にトレー)が、
同社のディスクプレーヤーの証であり、個人的に好感が持てます。

技術について

同社のCD専用機のトップモデルとして、充実の内容となっています。
定評のある同社の高信頼CD専用ドライブメカに、
新たにスチール製トッププレートを加えた最新仕様を搭載しました。
外来ノイズ対策、高静音性を目指す設計で安定した信号精度を確保します。
DACには、32bit対応TI社製PCM1795をデュアル構成で搭載しています。
これら回路を、大型電源トランスと各回路独立のレギュレーター、
これに大容量ブロックコンデンサーを加え、強力にサポートします。
USB入力は最大384kHz/32bitのPCMデータと、DSDデータ11.2MHzに対応、
高音質音源フォーマットMQA(MQA-CD/MQAファイル)のフルデコード再生
にも対応、ハイレゾ音源の対応にも抜かりはありません。
最後に、個人的お気に入りポイントを2つ挙げます。
1つは、この価格帯でバランス出力端子を搭載してくれたうえに、
前面パネルに位相反転スイッチが付いている事が有り難いです。
古いアンプや海外製のアンプのバランス入力には、
2番HOT(しかも固定!)の場合があるので、この配慮は有り難いです。
2つは、レフトサイドメカ構成による美しく合理的な内部レイアウトです。
下記の写真の通り、かなりスッキリ(し過ぎ?)としています。

左側前にディスクメカ部後方に電源トランスを配置しています。
右側と仕切りで区切りる事で回転メカやトランスの振動を遮断する狙いです。
右側は余裕のある広さに完全バランス構成のアンプ基板類などを配置、
各セクションを細かく仕切る抜かりのなさ!ノイズから各回路を護ります。
"上位機種の構造的利点を受け継ぎつつ、うまくこの価格帯に落とし込んだ"
D-03Xにはそんな印象を私は持ちました。

音質について

まず、音質を論じる上で2つお知らせしなければなりません。
1つは、MQAやUSB-DAC入力などのファイル系を時間の関係で試していません。
2つは、D-10Xと同時に試聴しており、それを踏まえた感想になります。
全体的に明るく、元気よく前に出てくるサウンドです。
同社のラックストーンよりは、ややメリハリの利いた印象です。
背景の静寂さや音数よりは、ノリを楽しむのに向いている印象です。
J-POPなどの再生の場合、ややボーカルが強調される傾向です。
ただ、きつい嫌な音はしませんので、電源や音声ケーブルの種類で
調整などは可能であると思われます。
LUXMAN伝統の濃くて艶感や厚みを強調したリッチなサウンドから、
従来の良さは残しつつ、より現代の音楽ソースに対応した印象です。
この辺りは、市場動向や入手部品の仕様による部分が大きいかと思います。
個人的には、ボサノバや小編成のウッドベースの利いたJAZZが良いかも?
車で言うと、小排気量エンジンを高回転で回してキビキビ走る
旧車のFIAT500(Cinquecento)の雰囲気に近いような感じがします。
車には積めませんが、海岸通りをドライブしたくなるサウンドです。

試聴を終えて

LUXMANはここ数年、サウンドデザインの大きな転換期にあると言えます。
でも、それは急な話では無く、DA-100・DA-200のヒット等からも
デジタル再生に対する真摯な取り組みと研究の成果の表れと観ています。
デジタルと言っても、機器である以上DACチップだけで音は決まりません。
それを生かすアナログ回路の設計など多くの要因が絡まります。
そのうえで、LUXMANは現在でも真空管アンプ商品を揃えるなど、
他メーカーには無い、独特の立ち位置を確立していると言えます。
D-10Xにも言えますが、最新のLUXMANは従来より爽やかなイメージです。
音が若いと言うよりは、経験を積んだ好青年のイメージでしょうか。
茅ヶ崎海岸から由比ヶ浜海岸へ というイメージ…行った事ないですが。
私見ですが、D-03Xに思うとこが有るとすれば、敢えてUSB-DACやMQA
は搭載せずに、CD専用機として勝負しても良かったように思います。
この価格帯最大のライバルでもあるDENON社DCD-2500NEはデジタル入力
を排除して割り切った分、設計に余裕が出来て音質も上がり、
SACDも再生出来るのでディスク専用機として人気も存在感もあります。
DCD-2500NEのケースからも、
USB-DACやMQAはDAシリーズや上位機種に任せるべきでは?と思いました。
だけど、多目的化は入門モデルの宿命でもあるからなぁ…難しい問題です。
ただ、CD再生のみに拘る層は潜在的に多いと思うので、鬼に笑われますが、
次世代機があるならCD専用機の企画を是非、ご検討頂ければ幸いです。
CL-1000もリモコンなくなったことですし…

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