2020年 03月 CHORD COMPANY GroundARAY 試聴レポート
今回は英国 CHORD COMPANY社の話題作、GroundARAY(8.8万円/税抜)をレポートします。同社は老舗のケーブルメーカーで、日本でのご愛用者も多いメーカーです。
GroundARAYはコンポーネント(機器)の空き端子に挿して使用します。
端子の仕様も7種類が用意され、オーディオのみならず、映像機器にも対応します。
今回は、XLRメス端子形状を使用したレポートになります。
試聴に使用した機種は下記の通りです。
marantz SA-10 / 600,000円(税抜)- SACDプレーヤー
Accuphase E-270 / 300,000円(税抜)- プリメインアンプ
Accuphase PS-530 / 430,000円(税抜)- クリーン電源
JBL L100 Classic / 456,000円(税抜/ペア)- スピーカー
意匠について
切削のアルミニウムをケースに使用、シンプルで美しい仕上がりです。1つ1つ熟練工が手作りで製作されており、所有欲を満たしてくれます。
サイズは端子部分を除いて、長さが約97mm、直径が20mmあり、
参考にRCAの赤白線と比べると、実物は写真で見るよりやや大きい印象を持ちました。
左右に2個付ける(贅沢!)場合は端子左右間の幅には注意が必要です。
意匠に入るか分かりませんが、"空き端子に挿すだけ"と言うコンセプトは素晴らしいです。
技術について
資料を要約すると、機器の内部に存在する高周波ノイズに着目、GroundARAYを空き端子に挿入して
機器内部に渦巻くノイズをGroundARAY内部の5つの素子でノイズを吸収します。
ノイズは熱エネルギーに変換・発散して機器内部のノイズを低減する仕組みです。
GroundARAY本体にも高周波ノイズ対策が施されており、内部の素子を守っています。
切削のアルミニウムケースも放熱と振動(共鳴)の面から有効に作用するようです。
同社のケーブル製作で培った技術が惜しみ無く投入されている印象です。
音質について
今回は、接続端子形状の都合でSACDプレーヤーのみのレポートになります。機器の電源の対策をした上でも効果が有るのか気になったので、
壁コンセントから直接繋いだ場合とクリーン電源を繋いだ場合で試してみました。
1.壁コンセントからの場合
壁コンセントから機器の電源を取るので、対策有りよりノイズ感が強いです。
粒子が粗く、様々な音が混ざりあってスピーカーから出てくる印象です。
音の上下方向や前後感が曖昧で、やや中央に寄った音の印象です。
2.壁コンセント + GroundARAY(ご紹介品)使用の場合
前方に出てくる音の歯切れが良くなり、立ち上がりが良くなった印象です。
音の力感やボリューム位置はそのままに、音場慣れが良くなった印象です。
音質に積極的に関与すると言うより、汚れた部分を丹念に取り除くイメージです。
特に中高域のノイズ感が減少して、ボーカルの口周りのノイズ感が低減しました。
使用した端子形状がXLRメスなので、RCAなど他の端子形状を使用した場合、
使用機器の回路構成によっては、結果が異なるかもしれません。
3.クリーン電源のみを使用した場合
クリーン電源はお馴染のAccuphase PS-530(43万円/税抜)を使用しました。
音の曖昧さや不安定感が無くなり、一気に音の重心が下がった印象です。
縺れていた音がほどかれて、本来の適正な位置から音が出る様になります。
薄い膜が剥がれた様な、見通しが良く情報量が増した様な印象です。
壁コン直などと比べて、住空間がいかにノイズに溢れているかが分かります。
4.クリーン電源 + GroundARAY(ご紹介品)使用の場合
まず背景のノイズが低減し雑味の無い透明感のある下地に変化しました。
音の粒立ちはクリーン電源のみの使用でも良いのですが、そこから更に
音と音の間隔が3D的に明確になり、より立体感や音場慣れが良くなった印象です。
中高域の音がややマイルドになり高・中・低の繋がりが良くなった印象です。
クリーン電源を入れていますが、CHORD COMPANY社が主張するように機器内部の
駆動部分や基板鳴きから来るノイズ類に有効に本製品が作用していると思います。
クリーン電源(PS-530)もアンプのようなものなので、
これに設置出来る端子形状があれば面白い結果が出るかもしれません。
試聴を終えて
今回は、1個で試しましたが複数使用や付ける場所で結果が変わると思われます。端子の仕様も7種類が用意され、この製品に対するメーカーの自信が窺えます。
日本の場合、パソコン、スマートフォンの普及率やエアコンのインバーター電源など
多くの高周波ノイズが飛び交う環境下でオーディオ機器を展開しないといけません。
GroundARAYが日本で先行発表された事も、この分野が日本で高い関心があると言えます。
オーディオアクセサリーの歴史も古くはケーブル類に始まり、
電源(電柱)、仮想アース、ルームチューニングなど多岐に渡って進化して来ました。
その最新(最先端)のトレンドが機器内のノイズ対策になるのでしょう。
この分野の製品も英国CAD社のハイエンドなモノから
国内メーカーのアコースティックリバイブ社なども製品をリリースして活況の兆しです。
その中において、GroundARAYは同社がケーブルで培ってきた技術を惜しみ無く投入し、
高い製造技術で一点一点丁寧に仕上げられています。
今回使用したXLRメス端子は、SACDプレーヤーのバランス出力に付けてみました。
右と左の端子接続では結果が違うのか?やってみよう精神で試してみました。
う~ん、何となく変わったような気も…
先入観が邪魔をして、私には入れ替えの効果はよく分かりませんでした。
ただ、逆に言うとそう考えさせてくれる製品であると言え、色々と試したくなる商品です。
8.8万円(税抜)という金額は決して安くありませんが、
初期導入コスト以外はメンテナンスもありませんので、長く付き合える製品です。
音の"ヌケ"や"キレ"にご不満の方などに、是非お試し頂きたい製品です。
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