2019年 06月 Kiso Acoustic HB-N1 試聴レポート

Kiso Acoustic社は2009年に岐阜県で設立された国内メーカーです。
ステレオサウンド誌の2009年夏号の表紙で覚えている方もいると思います。
今回は、最新モデルHB-N1について試聴レポートします。
定価は88万円(税抜き/ペア)、別途専用スタンドが20万円(税抜き/ペア)が御座います。

意匠について

まず、目に留まるのは特徴的なカーブを描くキャビネットです。
この美しいボディーラインは、熟練した職人が曲げ加工を施して成型します。
製造もギターで有名な高峰楽器製作所が行い、正に楽器の趣です。
過去、箱鳴りを用いたモノや楽器的なスピーカーは多く存在しました。
その中で、Kiso製品は高い次元で意匠・音質・思想を合せもっており、
その佇まいは、美術品や工芸品を思わせます。
鳴らなくても音が想像できる、感性に訴えてくる傑作のデザインと言えます。

技術について

キャビネットの胴部分、2.5ミリ厚の単板曲げ加工に目が行きがちですが、
この加工を最大に生かす多くの工夫がなされています。
まずスピーカーユニットが取り付けられているキャビネット内部には、
吸音材やネットワーク回路類が存在せず、回路類は強靭なメイプルウッドの
積層で製作された、本体台座(ベース)に収められています。
吸音材などがないことのメリットは、キャビネット内部の空気容積を最大に
使える事や、美しい箱鳴りを最大に活かせることにあります。
その反面、調整には高い技術と精密な加工技術が要求されます。
Kiso製品では、ギターの様に力木(ちからぎ)を側面響板に配置して
箱内部の不要な共振や音の歪みを排除、音のコントロールに寄与しています。
そして箱の魅力を最大に生かす為に選ばれたスピーカーユニットと制御する
豪華な回路でKiso Acousticのサウンドは創られています。

音質について

見た目通り、ギターやストリングス(弦楽器)に非常に強みのある音です。
本体が軽く、軽快に朗々と音が鳴ってくれる印象です。
大編成や大音量を必要とする楽曲は他のスピーカーに譲る部分もありますが、
ご自宅の使用用途で常識的な範囲での低音は、厳しいことを言わなければ大丈夫です。
むしろ、サイズから考えれば豊かな音場を提供してくれます。
意外な一面は、打ち込み系の楽曲などを難なくこなすところです。
多分、巧みな調整と強力なネットワーク回路のバランスが利いているのでしょう。
モニター的ではありませんが、十分な解像度で音楽空間を展開してくれます。
ヴァイオリンなどは録音によりますが、スイートな音色より、ややビターな印象です。
ただ、辛口の乾いた音では無く、適度に潤いを持ちつつ明るく朗らかに鳴ります。
スピーカー自体が非常にシンプルな構造なので、アンプやプレーヤー、ソースの選択
特に部屋の大きさと置き方で、で大きく印象が変わるかも知れません。
ギターを弾きこなす様に、色々と試したくなるスピーカーと言えます。

試聴を終えて

HB-N1を理解するには、あまりに短い時間でしたが良い経験が出来ました。
傾向は違いますが、sonus faber社の傑作機、Guarneri Homageを思い出しました。
両者共、楽器的価値を持ちながら、そのアプローチは大きく異なります。
ただ、目指している思想的なものは非常に近いものがあると感じ取れました。
やはり、スピーカーにはそれを裏打ちする文化・思想・技術の重要性を再認識しました。
HB-N1はコンパクトな筺体のうえに、固有の強い魅力を兼ね備えたスピーカーです。
大型スピーカーをお持ちの方も、是非+1ペア所有するのは如何でしょうか?
音楽の違う可能性が見えるかもしれません。

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