2020年 04月 ESOTERIC K-01XD 試聴レポート

今回は、ESOTERIC社の新製品SACDプレーヤー、K-01XDの試聴レポートをします。
K-01XDは、2010年に発売したK-01から数えて4代目にあたります。
今作は、トランスポートメカやDACなどに大きくメスが入りました。
価格は、前作K-01Xsの定価160万円(税別)より15万円高い175万円(税別)です。

尚、試聴に使用した機器は、お客様宅持ち込み試聴の為、省かせて頂きます。

意匠について

ESOTERIC社お馴染の重厚なデザイン、Kシリーズと一目で分かります。
アンプでも採用されているので、すっかり同社の"顔"となる意匠に育ちました。
前面左右角面のR加工が、柔らい表情と同社の金属加工技術をアピールしています。
世界でもこれだけ堅牢な箱を量産しているのは、同社だけではないでしょうか。
外観でK-01Xsとの違いは、トレー開閉口のシャッター機構の有無ぐらいです。
トレーのシャッター機構廃止は、メンテナンスの面ではプラスではないでしょうか。

技術について

先行して発売された、Grandioso P1X D1X K1Xの技術が多く投入されています。
トランスポートメカを従来のVRDS-NEOからVRDS-ATLASに進化しました。

モーター配置がディスク上部から下部に変更され、従来よりも土台左右を拡張、
車のボクサーエンジンの様な低重心で安定した駆動を得ています。
DAC部は、Grandioso D1Xで高い評価を獲得したディスクリートDACを採用しました。

長年旭化成と共同開発してきたDACを使用して来た分、大きな変更と言えます。
Master Sound Discrete DACと名付けられたこの贅沢な回路は、
集積チップでは実現できない、開発陣の威信を懸けた仕上がりです。
そしてこれらを支える4つの大容量トロイダルトランスを搭載。

各回路、メカ系に専用の電源トランスを配す抜かりのない贅沢な仕様です。
この他にも、ローフィードバックDCレギュレーターの採用や
スーパーキャパシター(大容量コンデンサー)の搭載、MQAの採用など
数多くの新技術が本機に投入されています。

音質について

解像度・位相感・静寂感などは、この価格帯で求められる要件を十分満たしています。
強力な電源の影響か、非常に落ち着いた余裕のあるサウンドという印象です。
車で言うと、排気量がアップして低域トルクが安定、車体のワイド化・低重心と相まって
カーブするときでも車体がロールせず、減速しないで安定して曲がれるイメージです。
少し車に話が逸れてしまいましたが…
従来のESOTERICサウンドは、若干の緊張感を持ったサウンドでしたが、
本機は非常に綿密でシルキーなサウンド、特定音域に偏った感じがない印象です。
本体天板をネジで締め付けない(あそびがある)構造が要因かもしれませんが、
非常にしなやかで音の倍音の制御に気を配って余韻を大切にしている印象です。
ESOTERIC製品共通で言える事ですが、本機の実力を最大に生かすには、
電源ケーブルや電源周りの強化、足元の補強などには高い必要性を感じました。

試聴を終えて

初代機から数えて4代目となる本機は、次世代のESOTERICサウンドの指針であり、
技術的にも音質的にも大きく舵をきった野心的なモデルと言えます。
メカ系統やDAC・電源回路と見どころの多い中で、私が注目した点は、
音質の項目でも触れた、天板をネジで締め付けない構造です。
"セミフローティングトップパネル"と名打ったこの構造は、
最後まで妥協せず、出来る事は全て試そうとする同社技術陣の気合いが感じられます。
結局、素材や回路・構造を高度化しても最後は人の感覚があってこそ成り立つ技術
という事をあらためて感じさせて頂けた部分であると思います。
また、同社が展開しているSACDソフトの経験値が本機に生かされていると思います。
現在のEOSTERICはソフトとハードの両面を持ち合わせているメーカーになります。
お互いの開発で得た経験や思想は必ず同社製品群に反映されて行くでしょう。
今後、この新技術群を他モデルにどの様に反映するのか…楽しみです。

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