2020年 10月 LUXMAN L-595A LIMITED 試聴レポート

メーカー営業様のご厚意でLUXMANの創立95周年記念モデルの試聴をさせて頂きました。
純A級プリメインアンプ、L-595A LIMITEDで定価98万円(税別)です。
1989年に発売されたL-570をイメージして製作、日本国内300台限定生産になります。

試聴に使用した機種は下記の通りです。
LUXMAN D-06u / 580,000円(税別)- SACDプレーヤー
LUXMAN L-595A LIMITED / 980,000円(税別)- プリメインアンプ
LUXMAN ES-1200 / 580,000円(税別)- クリーン電源
FOCAL Sopra N゜2 / 1,560,000円(税抜/ペア)- スピーカー

意匠について

1989年に発売されたL-570をベースにCL-1000の意匠系統が採用されています。
同社のトランジスタ型アンプはお馴染のVUメーター付きが定着しているので、
このデザインは、懐かしいよりは新鮮に映る世代が出てくるかも知れません。
担当がLUXMANを知った時期が90年代初頭なので、ギリギリこの世代と言えます。

L-595A LTDの拘りは凄まじく、L-570とツマミ、ボタンの数と配置は同じです。
一番感動したのは、音量ボリュームの12時の位置についているちょっと尖った
パイロットランプなのですが、色は緑から橙に変わったのが時代の流れを感じます。
前面パネルは昔のイメージと違和感が無く、思わずメーカーさんに"金型一緒?"
と馬鹿な質問をしてしまいました。(勿論、新規金型を起しています)"
CL-1000でも採用された美しい天然木、突板の木製キャビネットが華を添えます。
L-570の90年台初頭の意匠とCL-1000の新たなLUXMAN像を融合した、良いデザインです。

技術について

細かい点(ACアウトレットやREC入出力の有無など)で違いは有りますが、仕様等
を確認するとL-590AX2と共通の部分が多く、この機種がベースだと思われます。
カタログ上は、定格出力30Wx2ch(8Ω)、60Wx2ch(4Ω)、出力構成や部品仕様など
共通点が多いですが、アンプ部に最新の増幅回路"ODNF-u"が純A級仕様で搭載され、
各所に95周年モデルに相応しい特別なブラッシュアップが施されています。
ただ、不思議な事にL-590AX2とL-595A LTDの音質は全く方向性が違います。
部品だけでは無い、エンジニアの感性とそれを実現する技術力が成せる技でしょう。
音質の違いについては、下記項目で述べる事にします。

音質について

先入観を無くして聴いた第一印象は、滑らかでしなやかな優しいサウンドです。
昨今ブームになっている高級食パンの様な、素材を生かす為に丹念に手間暇を
懸けて創られたサウンドで、空間における空気感(気配)を巧みに演出します。
純A級アンプの表現で良く使用する"ふくよか"より"しなやか"なイメージです。
高中低の各帯域の何れかを強調する気配は無く、非常に耳当たりの良い音です。
高域と低域は欲張らず、"此処まで出てますよ!"と言う感じはありません。
LUXMANの純A級アンプのイメージですと、中域に厚みと艶が乗った煌びやかで
線の太い印象が有り、L-590AX2に対してもそんな印象を私は持っています。
しかし、L-595A LTDは、CL-1000系のサウンドバランスに近いモノを感じます。
技術の項目で触れた"ODNF-u"が大きくこの音創りに影響を与えているのでしょう。
そういう意味で見ると、本機はやや化粧っけが薄いかも知れませんが、
決して薄味で平坦な意味合いでは無く、気取らず、飾らない音質と言う意味合いです。
ピアノ・弦楽器などはしなやかで空間に溶ける様な色合い、シンフォニーは音の強調感を
押さえ、語る様な空気感を演出、女性ボーカルは年相応の過度な演出は避ける感じです。
ただ、L-595A LTDの魅力を掴むには、多少の時間が必要でしょう。
なぜなら、まずL-595A LTDの音に耳を慣らし、本機が語る声に耳を傾ける必要が有るからです。
多少の待ち時間を越えれば、L-595A LTDは貴方に新しいLUXトーンを語りかけてくれるでしょう。

試聴を終えて

LUXMANと言えば、伝説の銘機"SQ-38"であり、ふくよかな音色はLUXトーンの原点とも言えます。
そして、95周年を迎えるLUXMANの記念モデルが、SQでも38でもなくL-570と言う事に驚きです。
なぜなら、L-570はもうビンテージなことも衝撃なのですが、90年代の製品なので、
実は30年になるのを考えると妥当であるし、LUXMANと言う会社が95年続いた証とも言えます。
L-595A LTDを起動して、すぐに音量ボリュームを回して見ました。
L-570に採用された32接点ロータリースイッチの様に"カチッカチッ"と回るか期待したからです。
だけど当然のことながら新LECUA1000なので、ひたすら滑らかに動き、少し切なくなりました。
寒い日に電源入れると銅板のラジエーター・フィンが"パチン"と音を上げることも無く、
同じ意匠なのに、30年と言う時間で随分変わってしまった事実に感傷的になってしまいました。
ただ、変わらない嬉しかったこともあります。
それは、相変わらずの"寝起きの悪さ"と"音量ボリューム"の下側の設定の細かさです。
アンプの"寝起きの悪さ"を嬉しがる人は少ないと思いますが、私は嬉しいのです!
やっぱりL-570系は30年経っても"寝起きの悪い"のだと、このアンプは本当に丁寧に創られて、
音を出す為に眠い目を擦りながら、もぞもぞと起きて来てくれるのだと、実感しました。
やはり30年経とうとも、音が時代で変わろうとも、L-570の血統を持つものは変わらないのだと…
L-570から30年と少し経ち、L-595A LTDとして大人になって帰って来てくれました。
久しぶりに聴いたその音色は、過ぎた時間を懐かしむような、穏やかで優しい語り口でした。
国内300台限定の幸運なユーザーの手に渡り、是非、後世の銘機に成長して貰いたいです。

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