2020年 10月 JBL MODEL 4349 試聴レポート

メーカー営業様のご厚意でJBL MODEL4349の試聴をさせて頂きました。
4367のジュニア・バージョンとなり、定価80万円/税別(ペア)です。
STUDIO MONITOR 50周年に新たな"43"ナンバーを持つモデルが誕生しました。

試聴に使用した機種は下記の通りです。
marantz SA-10 / 600,000円(税別)- SACDプレーヤー
Accuphase E-270 / 300,000円(税別)- プリメインアンプ
Accuphase PS-530 / 430,000円(税別)- クリーン電源
JBL MODEL 4349 / 800,000円(税別/ペア)- スピーカー

意匠について

伝統の意匠ブルーバッフルとウォールナット突板仕上げが所有欲を掻き立てます。
この確固たるアイデンティティはJBLが50年の年月をかけて築き上げた財産です。
鳴って無くてもいい音が聴こえてきそうな、鳴る前から期待が膨らむ意匠です。

現在では少なくなりましたが、TANNOY・McIntosh・Harbethなど、伝統的な技術・意匠を
守りながら現代製品として市場にアプローチするメーカーの姿勢には頭が下がります。
意匠とはあまり関係ない話ですが、何故MODEL4430では無いのか?と思いました。
理由は、現行の4429が同径の12インチ(30cm)ウーハー搭載なので、4429の後継モデル
として4430かと思ったのですが、過去に4430が存在しているのと、4367のジュニア機に
位置付けなので、43ナンバーが与えられたのかな?と邪推してみました。
写真で見ると、背が高くてホーンが厳ついかと思っていましたが、
実機をみると意外とホーン部とウーハー部のバランスが良く収まりの良い意匠でした。
メーカー営業様に尋ねると、ホーン部分の大きさをギリギリまで試行錯誤したそうです。
ホーンの大きさは意匠だけでなく、特性にも関わるので4349で最も重要な部分と言えます。
ギリギリまで調整を重ねた結果は、製品の完成度として表れていると私は感じました。
色々書きましたが、やっぱりSTUDIO MONITORは"カッコいい"と言うのが私の結論です。

技術について

4429をベースに上位機種4367の技術を注入した印象です。

まず、伝統の12インチウーハーは、4429の"1200FE-8"から新設計の"JW300PG-8"を採用、
新設計のピュアパルプコーンを採用するなど、見えない部分で改良が加えられています。
コーン紙の選択は、メタル系も含む様々な材質と組み合わせを試して開発がなされます。
次に、特徴的なHDIホーンは上位機種4367のHID-Xウェイブガイド・ホーン技術を用いた
定指向性ホーンを搭載、意匠と性能の両面からギリギリまで追い込まれた力作になります。
このホーンを最大に生かす為、強力な2枚のダイアフラム(振動板)を搭載した
コンプレッション・トライバー"D2415K"が良質で歪みの少なく高い出力を供給します。
この特徴的なホーンとドライバーの組み合わせが、ホーン型特有の歪みや定位感の悪さ等、
ネガティブな印象を払拭し、どの試聴位置でも安定した音像とホーン型の魅力を両立します。
この特徴的なHIDホーンとドライバー"D2415K"を生かす低歪なオリジナルネットワーク
"N4349"を搭載、HF及びUHFレベルの微調整が可能なスイッチ式トリムコントロールを
ホーン下側に配置し、ウーハーユニット"JW300PG-8"との最適なバランスを図ることが可能です。
最後に、4349では公称インピーダンスが"8Ω"で出力音圧レベルが91dBと設定されています。
4367や4429をはじめ、近年のJBL製品では"6Ω"設定が多いので"8Ω"なのは意外ですが、
古い真空管アンプや出力の低いアンプでドライブする場合は使い易い設定値かと思います。

音質について

大らかなサウンドを基本としながら、低音の歯切れが良く、小気味よく鳴る印象です。
大型ホーン特有の開放的なサウンドですが、決して明るくノリの良いだけでは無く、
音楽に隠れた暗い影の部分や繊細な部分を丁寧に拾い、時に大人な対応で魅せてくれます。
音の繋がりと纏まりの良さは上位機種の4367よりも本機の方にアドバンテージがある印象です。
各帯域間の繋がりも良く滑らかで、決して大型ホーンを誇張する表現では無い印象です。
音色としてはやや穏やかで、温度感は中道的、長時間のリスニングでも疲れにくい印象でした。
大型ホーンの2ウェイですが、適度に音も分離してくれ、演奏者の立ち位置も分かり易いです。
ボーカルの口周りの表現も、過度に大きくなることは無く、声も聴き取り易いです。
やはり大型ホーンでの金管楽器の表現は素晴らしく、この機種最大のアドバンテージと言えます。

試聴を終えて

試聴前は、大型ホーンに12インチの2ウェイ構成なので癖が強いサウンドと思っていましたが、
聴いてみると、ホーンの良さを生かしながら纏まりが良く聴き疲れの無いサウンドで驚きました。
現代スピーカーに求められる位相・定位などをクリアしつつ、JBL STUDIO MONITORの系譜の
デザインとユニット構成を両立する為、メーカー開発陣の多大な努力と技術力が窺えます。
意外に小回りの利いた扱いやすい音のスピーカーで、車で言うとハンドルの取り回しが良い印象です。
音が多重に重なり合う場面でも、飽和すること無く適正に音源を処理していく印象です。
この辺りは、12インチウーハーのコーン紙の補強が非常に有効に作用していると思います。
ジャズ・クラシック・ロック・ポップスなど一通りを聴いての印象ですが、設置条件などが
音質に影響が出やすい印象なので、スタンド/ボードの選択はかなり重要になります。
追い込み要素があるので、"長く付き合って自分のサウンドに仕上げる"そんなスピーカーです。

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